
がんの疑いがある方へ
- 最終更新日:
- 2025/07/23
がん検診を受けたとき、あるいは何らかの体調不良があり受診をしたとき、医師から「がんの疑いがあります」といわれたら、多くの方は頭が真っ白になってしまうのではないでしょうか。
がんは怖い病気ですが、治療すれば治るケースもありますし、そもそも実際はがんでない可能性もあります。
そのため、まずは冷静に現状を把握することが大切です。今回は、「がんの疑い」とはどのような状態について、わかりやすく説明します。

日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授
- 目次
がんである可能性が示唆されたとき、どんな対応を取れば良いのでしょうか。
がんの疑いがあると言われたら、まず現状を正しく把握する
「がんの疑いがあります」などと医師から言われたら、ショックですよね。
ショックを受けると、誰しもすぐにその事実を受け入れることは難しく、ときに思考停止に陥ってしまう方もいることでしょう。
しかし、まずは落ち着いて、現状を把握するようにすることが大切です。
がんにもいろいろな種類がありますし、人によって進行度も異なります。早期であれば治るケースも増えてきています。がんと診断が下っても、ただちに余命○か月といった宣告と同義ではないのです。
がんに対する医療は近年急速に発展してきており、膨大なデータが蓄積されています。がんと闘うためにはその膨大な情報をもとに、自分自身にとって最適な選択をしていかなければなりません。がん治療においては、正しく情報を集めることが大切です。
正しく現状を把握するためには、まず主治医からよく話を聞くことが大切です。医療の専門家でなければ、「わからないことだらけ」なのは当然のことです。したがって、まずは、「がんの疑いがある」と言われた場合は、かかりつけの医師、あるいは医療機関に、わからない点について詳しく聞いてみると良いでしょう。
ご自身で情報収集する際にインターネットや書籍で調べる方が多いと思いますが、巷にあふれている情報は玉石混交で、誤った情報も目立ちます。時には、誤った情報がさも正しいかのように記載されていることもあります。そのため、信頼性の高い情報源にアクセスすることがとても大切です。
一般の方でもわかりやすく、正確な情報を提供してくれるホームページとしては、国立がん研究センターの「がん情報サービス」が参考になります。
また、大学病院などの公的医療機関のウェブサイトも、理解しやすい情報が記載されているケースがあります。
「再検査が必要」というのはどういう状態?
現在日本では、胃・大腸・肺・乳・子宮頸がんに対するがん検診が推奨されています。肺がん検診では胸部レントゲン、胃がん検診ではバリウム検査や上部消化管内視鏡検査、大腸がん検診では便潜血検査、子宮頸がん検診では子宮頸部の細胞診が行われます。
そして、がん検診を含めた人間ドックや健康診断などの結果は以下のように分けられます。
・正常:「異常なし」です。胸部レントゲン検査や、バリウム検査などの検査において、病気が疑われるような所見がなかったことを意味します。
・軽度異常:正常値からはやや外れているものの、明らかに重篤な疾患を示唆する所見はありません。
たとえば胸部レントゲン写真で過去に起こった炎症が疑われるような画像の所見があったり、胃のバリウム検査でがんになるリスクが非常に低いポリープがあったりといった場合です。つまり、何らかの所見はあるものの、悪いものを積極的に疑う所見ではありません。
・要再検査:がん検診の結果などで明確な判断ができなかったなどの理由で、再度の検査が必要な状態です。
たとえば、胸部レントゲンで画像が不鮮明だった、子宮頸がん検診で細胞がうまく採取できていなかった、など検査の精度に問題があったケースです。
・要経過観察:気になる所見があり、今後の変化を観察していくことが必要です。
たとえば、肺がん検診で肺に結節という小さな塊が見つかることがあります。この場合、サイズ、形、タバコを吸っているかどうか等のリスクに応じて、時間をあけて再度の検査を行うことが勧められる状況です。
・要精密検査:がんの疑いがあります。よって、より詳細な検査を要します。
「要再検査」は早めの再検査、「経過観察」は一定期間をあけて様子を見る、という違いを押さえておきましょう。
医師の指示通りにしっかりと検査を受けることで、もしその病変ががんであっても、早期発見にも繋がる可能性があります。
偽陽性と偽陰性について
原則として、がん検診では、以下の判定のいずれかとなります。
・がんの判定:陽性
・がんでないという判定:陰性
もちろん、本当にがんがあれば100%陽性、がんがなければ100%陰性という結果が出るような検査が理想的です。しかし、実際にはこうした検査はほとんどなく、偽陽性や偽陰性があります。
偽陽性:がんではないのに、検査結果が陽性となってしまうことです。精密検査をしてみたらがんと診断されなかったというようなケースです。
偽陰性:がんがあるにも関わらず、検査結果が陰性となってしまうことです。これは、本来見つけるべきがんを見逃してしまうことにつながってしまうリスクとなります。
「がんかもしれない」と言われたけれど結果的にがんではなかった場合と、「問題ないでしょう」と言われたものの実はがんだった場合を比べると、やはり前者の方が安心できる結果といえるでしょう。
そのため、基本的にはある程度の偽陽性は許容して、できる限りもれなく病気をみつけられるように設定されています。
検査によっては、陽性であっても最終的にがんと診断がつくのは数%にとどまるものもあります。
「がん」と診断するための検査
がんかどうかを調べるために使われる、代表的な検査方法についてまとめます。
がんの診断に用いられる主な検査
がん診断のためには、さまざまな検査が用いられます。よく用いられるもののひとつとして、胸部レントゲン、超音波検査、CT、MRIなどの画像検査があります。他にも、前立腺がんであれば腫瘍マーカーの検査が有用ですし、大腸がんであれば便潜血検査で陽性になったことで疑われるケースもあります。
がんの疑いが強まった場合には、本当にがんなのかどうかを調べるための「確定診断」を行うための検査が必要となります。
確定診断は、がんが疑われる組織を少量切り取って顕微鏡で観察する病理検査によって行われます。
針で少量の細胞をとる場合や、病気が疑われる場所を少し大きく切り取って調べる場合など、検体を採取する方法はいろいろありますが、最終的には病理医が直接組織を見てがんかどうかを判定しているのです。
見た目だけで判断が難しい場合には、免疫染色等の追加の検査を要することもあります。
がんの精密検査を受けられる医療機関
精密検査を行うためには、画像診断や病理診断などを行うための機器がそろっていることはもちろん、医師や検査技師などの専門の人員も必要です。
クリニックでがんを診断できるケースもありますが、基本的には総合病院や大学病院を受診することになります。
もし具体的にどこの病院を受診すれば良いかわからないときは、がんの疑いがあると言われた医療機関で医療スタッフに相談すると良いでしょう。
まとめ
「がんの疑いがあります」と言われたら、やみくもに焦るのではなくまず落ち着いて、主治医とよく話しつつ、冷静に情報収集を行いましょう。
がんの可能性を指摘されたときは、必要以上に不安を募らせるのではなく、まず落ち着いて主治医と話し合い、冷静に情報を集めることが大切です。
早期に適切な対応をすることで、治療の選択肢が広がり、治る可能性も高まります。
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「もしかしたらがんかもしれない」と、がんの疑いについて告げられた際のご不安な気持ちやショックな気持ちは計りしれないことと思います。
「どうして自分が」、「まさかありえない」と思われる方、食欲がなくなったり、眠れなくなったりされる方も多くいらっしゃいます。
不安や落ち込みを「ひとりで解決しなくては」と我慢して、頑張りすぎてしまう方もいるかもしれませんが、今の気持ちを誰かに伝えることで不安や落ち込みがやわらぐこともあります。
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