
心のケア
- 最終更新日:
- 2025/07/23
がんと診断されたとき、多くの人が不安や恐怖、怒りや戸惑いなど、さまざまな感情に直面し、途方に暮れてしまう方も少なくありません。
治療への不安、仕事や家庭への影響、命に関わる病であることへの恐れ――こうした気持ちは、ごく自然な反応です。しかし、現在ではがんは長く付き合っていく病気となりつつあり、治療を受けながらも自分らしい暮らしを続けている人が増えています。
この記事では、そんながんと向き合うための心のケアについて、基本的な考え方から実際に活用できる支援まで、わかりやすくご紹介します。

清水 研 先生【監修】
公益財団法人 がん研究会有明病院 腫瘍精神科部長
- 目次
がんと診断されて不安な気持ちの対処法
がんと告げられたとき、多くの人は「なぜ自分が?」と混乱し、次に「これからどうすればよいのか」と不安になります。
こうした感情は、ごく自然な反応です。がんと告知された直後の心理的ショックは、いわば心に急ブレーキがかかったようなもので、感情や思考がフリーズしてしまうこともあります。
こういう時にまず大切なのは、一人で抱え込まないことです。
不安な気持ちへの対処法
- 信頼できる家族や友人に話す
- 主治医に不安や質問を率直に伝える
- 医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターを活用する
こうした行動が心を落ち着ける第一歩になります。泣いたり怒ったりしても良いのです。不安を言葉にすること自体が、ケアの始まりになります。
がんは不治の病ではなく長く付き合う病気
一般的に、「がん=不治の病」というイメージは、過去のものになりつつあります。医学の進歩により、多くのがんは早期に見つかれば高い確率で治ります。
たとえ治らない場合でも、薬や放射線などで病気の進行を抑え、長くコントロールしながら日常生活を送ることが可能になっています。
国立がん研究センターによると、がんの5年相対生存率(=治療後5年生きている人の割合)は全体で約65%、がんの種類によっては90%を超えることもあります。今やがんは「治す病気」でもあり、「共に生きる病気」でもあるのです。
がんと診断されても自分らしく生きるために
がんと診断されても自分らしさを失わずに暮らすためにはどうしたらいいのでしょうか。
がんとうまく付き合いつつ、自分らしく生きるために大切な3つの視点をおさえておきましょう。
1.不安を軽減する
病気への不安を減らすためには、納得できる医療を受けることが鍵です。主治医の説明がわかりにくければ、遠慮なく再質問しましょう。
また、他の医師に意見を求めるセカンドオピニオンも選択肢の一つです。
自分が理解し、納得できたうえで治療に臨むと、心の安定にもつながります。
2.経済的な不安を軽くする
がんの治療には医療費がかかりますが、高額療養費制度や傷病手当金など、国の支援制度を利用することで自己負担を抑えられます。がん相談支援センターや病院の医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
3.働きながら治療を続ける
がんと診断された後も、多くの人が仕事を続けています。治療内容や副作用に合わせて勤務形態を調整することで、治療と仕事の両立が可能です。
会社に伝えるタイミングや配慮してもらいたいことについても、医療スタッフと相談しながら決めていくと安心です。
「 緩和ケア」とは?
緩和ケアというと、治療の手立てがなくなった最期のときに受けるケアという印象があるかもしれません。しかし、実際にはがんと診断された直後から、どの段階でも受けることができるケアです。
緩和ケアは、がんによる痛みや吐き気、呼吸の苦しさなどの身体的なつらさ、そして不安や抑うつといった心のつらさを和らげることを目的としています。
緩和ケアを受けるからといって、治療をあきらめなければならないわけではありません。むしろ、生活の質を保ちながら治療を続けていくための大切な支えとなるものです。
緩和ケアを受けるには
緩和ケアを受けたいと思ったときは、まず主治医と相談することが第一歩です。
症状を楽にする手段や投薬を、多くの場合は主治医が考えてくれます。主治医が対応困難な症状や問題については、専門職などが相談にのってくれます。
多くのがん診療連携拠点病院には緩和ケアチームがあり、医師・看護師・薬剤師・心理士・ソーシャルワーカーなどが連携して支援してくれます。
また、自宅で療養する場合は、地域の在宅緩和ケアを提供する医療機関や訪問看護ステーションに相談できます。遠慮せず、早めに情報を集めておくことが大切です。
心のケア
心のケアについて
がんと共に生きるうえで、体の治療だけでなく心のケアも非常に重要です。落ち込み、不安、怒り、孤独感。どんな感情も間違いではありません。
「気持ちを言葉にする」「気持ちを共有できる相手を持つ」ことは、心のケアの第一歩です。
日記を書く、信頼できる友人に話す、同じ病を経験した人の体験談を読むなど、自分に合った方法で感情を整理していきましょう。
専門家による心のケアについて
もし気持ちが強く沈んだまま動けない、涙が止まらない、眠れないなどの状態が続くときは、専門家のサポートを受けましょう。
外来や病棟の看護師さんが話を聴いてくれることもありますし、がん専門のカウンセラー(公認心理師)、精神科医、がん相談支援センターなどが相談に乗ってくれます。
国立がん研究センターは、「つらさはがまんしなくていい」と呼びかけています。
心のケアもまた、がん治療の一部であり、心が落ち着くことで治療への意欲や生活の質が大きく向上することが分かっています。
まとめ
がんと診断されたときの不安や戸惑いは、誰にでも起こる自然な反応です。いまやがんは「治らない病」ではなく「共に生きる病気」となりつつあります。
不安を軽減し、自分らしい生活を送るには、信頼できる情報をもとに納得できる医療を受けること、経済的・就労面の支援を活用すること、そして心と体の痛みに向き合う「緩和ケア」や「心のケア」を遠慮なく受けることが大切です。
自分ひとりで抱え込まず、周囲や専門家と支え合いながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
サポーターからのひとこと
「いろいろ決めなくてはいけないのに、何も考えられない」「なぜわたしが苦しい思いをしなくてはいけないのか……」
気持ちが不安定になったり、やり場のない思いがあらわれたりすることは、自然な心の反応です。
不安や落ち込みを「ひとりで解決しなくては」と我慢してしまう方もいるかもしれませんが、今の気持ちを誰かに伝えることで不安や落ち込みがやわらぐこともあります。
何も考えられない、何を話したらよいのかわからなくても大丈夫です。
まずは、がん相談サポーターにご相談ください。
がん相談サポートがご紹介するサービス
さまざまなお悩みの解決をサポートする各種サービスを案内します。無料または優待価格でご利用いただけるサービスも多数ありますので、気になるサービスがありましたら、よりそうがん相談サポーターへお問い合わせください。
tomosnote (トモスノート)

提供:Hatch Healthcare(株)
がん経験者様のコミュニティサイトです。会員登録をして、不安な気持ちや悩みを投稿しましょう。がん種ごとのコミュニティに加入することもでき、同じがんを経験した方への相談も可能です。お気軽に利用してみてください。
特長1
ひとりじゃないと感じられる場所
特長2
近しい境遇の仲間と出会える
特長3
がん患者様の体験談掲載
対面カウンセリング

提供:(株)法研
カウンセリングルーム(全国約150カ所 ※2022年7月1日時点)にて、「臨床心理士」の資格を持つカウンセラーによる面談を利用できるサービスです。ご利用内容やご利用の事実がご家族やお勤め先に知られることはありません。安心してご利用ください。
特長1
全カウンセラーが臨床心理士
特長2
47都道府県全国で対面相談可能
特長3
幅広い専門知識で対応
心の相談事例
60代 / 女性
本人からの相談
仕事を続けられるかの不安
長い間続けた仕事のため続けたい気持ちはあるが、がんと診断され、職場に迷惑をかけてしまうのではないか、自分の体が持つのかも心配。
50代 / 男性
本人からの相談
診断確定前の不安
がんの疑いが強いと指摘を受け、現在精密検査の結果を待っている。妻には心配をかけたくなく、幼い子どもにも伝えていない。この先どうなるのか不安。
80代〜 / 女性
家族からの相談
本人への告知についてご家族からの相談
診断結果について、本人に伝えると落ち込むのではないかと心配。伝えなければいけないものなのか。また、高齢でも抗がん剤治療をする人もいるのか。副作用が心配。
40代 / 女性
本人からの相談
がん疑いの不安と治療法に関する相談
人間ドックのエコーで、検査技師が何度も繰り返し確認しているように思えて心配になった。仮にがんと診断を受けた場合、治療方法は手術になるのか。
80代〜 / 男性
家族からの相談
高齢患者の治療選択に関するご家族からの相談
患者本人が高齢のため、主治医からは手術でなく、ホルモン療法の提案を受けた。ホルモン療法も効果的だと聞いているため、家族としては異論ないが、患者本人が副作用を心配し、他に治療方法がないかと言っている。